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ジョージ朝倉「ハッピーエンド」あらすじと感想。天才漫画家の半自伝‘‘青春群像劇‘‘。

りょーこ
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こちらの記事では「ハッピーエンド」のあらすじや感想、登場人物などを書いていきます。

「ジョージ朝倉」の半自伝はんじでん、全編の描き下ろしの‘‘青春群像劇‘‘です。
何者かになりたい若者たちを、あっけらかんとグロテスクに描いており、
混沌こんとんとしたエネルギーと疾走感に、心をわしづかみにされてしまう作品「ハッピーエンド」。

タイトルは「ハッピーエンド」だけど、幸せにほど遠い現実ばかり。
けれど、最後にはちゃんと、主人公たちがそれぞれの幸せに辿りつくものがたりです。

キラキラ輝いた青春ではないし、何者にもなれていないし、
周りから見たら、本当に幸せなのかも分からない平凡な生活を描いています。

10代のころ、こういうことあったっけなあと、
幼いチクチクとした感情を思い出し、青春時代が懐かしくなる。

この漫画を一言で言うと、「青春回帰せいしゅんかいき」です。

一度絶版になり2015年に新装版でよみがえった、
「ハッピーエンド」のあらすじや感想、登場人物などを合わせて書いていきます。

 

 

「ジョージ朝倉」ハッピーエンドのあらすじと見どころ

 

ミシン工場で働く元マンガ家ショーコと、遠く離れた場所に住む彼女の親友アキラ。

なぜかショーコになついてくる同僚マリエ。自伝出版をもくろむ引きこもり男ケンジ。

4人が彩る青春の‘‘あのころ‘‘と‘‘これから‘‘を、
マンガ家・ジョージ朝倉が描ききるエセ自伝的オムニバスストーリー!

7話からなるこの物語は、‘‘10年位前‘‘からスタートし、
主人公ショーコを含めた4人の視点で時系列を前後しながら‘‘現在‘‘へ進んでいく。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

主人公・ショーコは19歳で漫画家デビューするも、想像力の乏しさからおもしろいマンガも描けず、
大恋愛もできず、学生時代からの友人アキラとつるみ、バカバカしい日々を過ごしていた。

しかし、アキラは突然、妊娠・結婚し、ショーコの前から姿を消してしまう。

いつまでも同じようにいられるわけがない。そんなのわかってはいるけれど・・。
裏切られたような気持ちのまま、恋人ができても、仕事を変えても、
前に進めないでいるショーコのくすぶりに、だれもが若き日の自分を重ねずにいられないーーーーーーーーー。

 

「ジョージ朝倉」ハッピーエンド|登場人物

 

 ショーコ|主人公

 

ハッピーエンド P38より引用

親友のアキラが憧れで、彼氏より優先するほど彼女に依存している。
アキラとふたりで、ひたすらくだらないことをする日々。

思い込みやパワーと妄想で漫画家デビューするものの、才能がないことに気づく。
尼寺に行くつもりが、勇気がなく、「ネオ東京ドレス」というミシン工場で働いている。
アイロン掛け係。
有名ブランド1着よりも安い月給で働いている。
社長と奥さんに辞めると言ったら説得されたので、
「あたしこう見えてもイラン人なんです」と言ったら、あきれはて辞めさせてくれた。

アキラがいないさみしさから不倫したり
服飾系の学生と付き合ったりして、なんだかんだで男関係は途切れない。

漫画は細々と書き続けるが、売れる気も、やる気もあまりない。

アキラが結婚したことで捨てられたと思っている。

 

アキラ|主人公ショーコの親友。

 

ハッピーエンド P54より引用

 

無職。

リゾートバイトで山梨に行き、しばらくショーコと離れて暮らす。
その間に妊娠し、結婚が決まり、九州へ引っ越す。
それを機に、ショーコと疎遠になる。

ショーコが先に夢を掴んだから、いつか自分から離れて行ってしまうと思っていた。

 

マリエ|ショーコの同僚。

 

ハッピーエンド P177より引用

 

ミシン工場「ネオ東京ドレス」ではショーコの同僚だった。
とろくて仕事ができないため、重要な仕事は任されない。
イラン人と付き合っていることが社長の奥様にばれてクビになる。

次に勤めたミシン工場でも戦力にならず、またクビになる。

ある雪の日にケンジに拾われ、しばらく一緒に暮らしながらお世話をするが、
あることをきっかけに出ていく。

ソープ嬢になり、各地を転々としながら東京を目指している。
ケンジと再会したころ、子供を身ごもっていたが男に逃げられる。

 

ケンジ|マリエとひょんなことから出会う。

 

ハッピーエンド P167より引用

バスケ部で、仲間がいて、モテてて、青春謳歌していたのに
不良に目を付けられ、学校でいじめられ不登校になり、引きこもる。

バンドに誘われるが、単身赴任していた父親が帰ってきて全寮制の学校へ入れられる。

転校先でバスケ部に入ったり、彼女ができたり、
別れたり、大学に入ったり、コンパしたりして、再度青春を謳歌。
親のコネで東京の会社に内定をもらう。

自伝を書いてみるものの、フツーの人生。
何者にもなれない。

何者かになろうとして、強姦しようとして、マリエと再会する。

 

「ジョージ朝倉」ハッピーエンドの名言。

 

【占いで不吉なことを言われたショーコに、アキラが言葉をかけるシーン】

<大丈夫 大丈夫

おめーの不幸ぐらいあたしがどーにでもしてやるから>

ハッピーエンド P66-P67より引用

【アキラに言葉をかけられたあとのショーコの思い】

<ほんとかよ ウソでもいいけどさ

アキラの調子の良い言葉だけだから

いっつもいっぱいいっぱいのあたしに風通ししてくれんの

風があると めずらしく自分の好きな自分でいられるんだ>

ハッピーエンド P68-P69より引用

アキラの調子のいい言葉に救われるショーコ。

自分のこと好きじゃなくなっていていたとしても
こころ強い親友にこんな言葉をかけられたら、
ああ、まだわたし大丈夫だなあと、前を向いていける気がします。

そのときの気分で、ただ言っているだけだとしても、
信用しているひとからもらえる「だいじょうぶ」は魔法の言葉。

 

【アキラがリゾートバイトへ行ってしまう前の会話のシーン】

[

<人って誰からも

必要とされなくなると 消えちゃうんだって

無くなっちゃうんだって

ショーコ あたしどっか行ったら 消えちゃうね>

ハッピーエンド P70-P71より引用

これからのふたりの別れを暗示しています。

なんだかんだ、人間、ひとから必要とされていたい生きもので。
必要とされることで、安心をえている部分が少なからずあって。

「ショーコは必要な存在だよ」と、暗に伝えているわけだけど、
ショーコのことを必要しているひとなんて、ほかにいないでしょ、とも取れます。
ああ、共依存だ。
女子ならば経験あるでしょう。

なんだろう。
周囲のひとに承認されるって、生きていくなかで大きなエネルギーになりますよね。
だから、承認されないってしんどい。若いときは特に。
このセリフを読むたびに、いろいろ思い出し、少しだけしんどくなってしまうのです。

必要以上の過剰な共依存って、
年をとるごとに減っていくけど、若い女の子はこんなときってあると思う。

片想いの依存もしんどいけど、両想いの依存もなかなかしんどい。
そんな記憶、女の子、元女の子ならあるのではないでしょうか。

 

【アキラの妊娠・結婚を知ったショーコが、事故を起こすシーン】

 

<キレイだった でも消えるワケが無かった

私は生きていくんだなぁ 私は強くなりたいなぁ

強く 強く>

ハッピーエンド P110-111より引用

アキラに結婚・妊娠を報告され、裏切られたような気持ちになってしまいます。
ショックのあまりアキラに‘‘ひごいこと‘‘をしてしまうショーコ。
その罪悪感から消えてしまいたくなるショーコ。

その結果、無免許なのに運転するという無茶な行動をとり、事故を起こしてしまいます。

つらくても、それでも、生きていくしかないと、強くならなくてならないと、ひとり決意するのです。

 

 

「ジョージ朝倉」ハッピーエンドを読んだ感想。

 

この作品「ハッピーエンド」は、
青春時代を生きる主人公たちが、何者かになりたい、何かを得たいともがく物語。

時系列を前後しながらすすみ、複数の視点で描かれるこのものがたりは、
ジョージ朝倉が得意とする作風なのですが、この「ハッピーエンド」もさすがの構成、演出です。

マンガ家志望ではあるものの、なかなかパッとしない日々を送ってるショーコと
学生時代からの親友のアキラとの関係は、呼吸ピッタリでキラキラと眩しく、
これぞ青春という感じで、懐かしい気持ちになります。

若いときの自分自身を見ている様。

なんとなくの不安を感じながらも、
ただ楽しいだけの時間を消費のするだけの、刹那的な毎日を過ごしてしまう青春時代。
どんどんと自分の人生を進めていったしまう友人たちに対する焦り。

置いてけぼりを食ったかのような気持ちで、毎日を生きることになるショーコに
つい自分を重ねてしまったりします。

ずっと一緒にいられると思っていた友人たちが、どんどん先に夢を掴んでいく。
ずっと一緒にいたいけど、自分の人生も進めなくてはいけないとわかっているのに。
いつか置いていかれてしまうという焦り。
10代のころ、こういうことあったっけなあと、
幼いチクチクとした感情を思い出し、青春時代が懐かしくなる。

自分も輝きたいのに、何者にもなれない焦り。
それは、きっと、ショーコだけじゃなく、アキラも同じだったはずなのに。


親友の出産・結婚を祝福してあげることもできずに、
勝手に裏切られたかのような焦燥感しょうそうかん、被害者かのような苛立いらだちを感じてしまうショーコ。

置いていかれた気になって、勝手に被害者面。

でも、アキラは漫画家として一歩踏み出しているショーコのことを
友人として誇りに思っていただろうし、敬意さえあった気がします。
だからこそ、自分も先に進まなくてはいけないと誰よりも思っていたのはアキラなのです。

アキラのように、学生時代からキラキラした何者かであるひとはいる。
賢さやユーモアや包容力に、皆が憧れ、吸い寄せられ、
アキラの放つ光のなかで、ショーコは自分も輝きたいともがいています。

10代の少女たちの青春あるあるですね。

そんななか、思いが強すぎるばかりに、アキラとの別れのきっかけとなる事件が起きてしまいます。
まあ、これがなかなか酷いのいだけど・・。

そんなショーコを中心に、彼女に関わった人々が交差していくのです。

ショーコがミシン工場に勤めていたころの同僚・マリエ。
とろくて、仕事ができなくて、鈍感な女の子。
妙になついてきて、空気のよめない感じ、依存してくる感じ。
こういう子いるなあ。

ショーコもある意味でアキラに依存しているから、
寄生できる相手のいる居心地の良さを、実はショーコが誰よりもわかっているのです。

でも、懐かれるのはウザい。めんどくさい。
でも、いざいなくなると、なんだかさみしい。
女心は難しいのです。

ショーコとマリエの人生が交差するのは、ほんの一瞬で、
2人の人生は、お互いが知らないところで進んでいきます。

マリエはふらふらと流れにまかせて生きている女の子。
ミシン工場をクビになったあと、いじめが原因で引きこもっているケンジと出会います。

この2人のエピソードは、ちょっとグロめなので、嫌いなひとは嫌いかもしれない。
一緒に暮らし始めるくだりも、ちょっと理解不能だし、わたしはマリエとは仲良くなれないなあ。

マリエに限らず、ショーコにもアキラにも、完全に共感できない自分は、
年をとりすぎてしまったなと感じます。
もう十分な大人だからか、女友だちに依存するという気持ちを完全に忘れてしまっていて・・。
でも、ふと振り返ってみると、10代のころあったなあと思い出し、こころが少しヒリヒリとします。

親友と呼べる友だちがほかの子と仲良くしていると嫉妬してしまったり、
羨んでしまったり、あったなあ。
過去のことを思い出してみると、ハッピーエンドに共鳴できる部分もあります。
なんだったんだろう、あの所有欲の強さは。
今はそんな感情全くないなあ。

ひとへの執着もなくなってしまった、元女の子のたち。
「ハッピーエンド」を読んで、たまには思い出してみるのもいいかもしれません。

青春時代特有の、友人への依存や、そこから発生する嫉妬や妬みの感情。
それらをまだ消化できるほどに成長できていない幼い心。
チクチクした、何とも言えない若さゆえの
幼い感情を思い出させてくるところが、この作品の魅力です。

生きていれば、人それぞれ色んな人生があって、
本当に手に入れたいものをつかむ者もいれば、気がつけば落ちこぼれている者もいます。
学生時代にスクールカースト上位にいた子のほうが、平凡な大人になっていたりして。
人生、ほんとに何が起きるかわからないものです。

「ハッピーエンド」は、落ちこぼれたちのドン底ストーリーなのだけど、
いわゆる「青春群像劇」なのです。

これぞ、ジョージ朝倉の真骨頂と言ってもいいのかもしれません。
まあ、一回絶版になっているから、そこまで人気の作品ではないのだけれど。

あとは、登場人物がみんなバカ(笑)

失敗の上に、さらに失敗を重ねる、斜め上の発想。
ゴロゴロと転げ落ちていく主人公たちよ・・。もうバカ(笑)

無免許運転して事故ったり、強姦して何者かになろうとする登場人物たちには、
正直、さほど共感はできません。

でも、これは現実ではなく漫画なのです。
漫画のなかで繰り広げられる、ジョージ朝倉の発想の可笑しさ、バカバカしさがとてもいい。

信念も何もなく、流れに流され、気がつけばドン底にいて、
はい上がろうとするも、おバカだから、さらにに墓穴を掘ってしまいます。

タイトルは「ハッピーエンド」だけど、幸せにほど遠い現実ばかり。

あの胸の痛みは何だったんだろう、もやもやしたあの感情の正体は何だったんだろう。
でも、主人公達は最後にはちゃんと、ドン底の人間なりにも、幸せに辿り着くのです。

それは、全然キラキラしていないし、何者にもなれていないし、
周りから見たら本当に幸せなのかも分からない平凡な生活なのかもしれない。
でも、本人たちはそれなりに満足してご機嫌に生きているのです。

まさに、ハッピーエンド。

それでいい。それでいいんだ。

マリエのように、小さな幸せを願っていれば、実現することだってあるんだと。
アキラのように、学生時代に目立っていて、ひととは違うオーラがあったはずなのに、
大人になってみたら平凡な人生を送っているんだ。
ショーコのように、はたから見たら夢を掴んだかのように見えても、
本人は本人で自分の才能のなさに絶望して、
気が付いたらミシン工場でアイロン掛けをしているのだ。

それでいいじゃないか。
それこそが、ハッピーエンドなのだと、
読み終えて、タイトルに偽りなし、と深くうなずき、納得できる作品でした。

ジョージ朝倉の作品は、瞬間的な青春を鮮やかに切り取ってみせます。
それがまた綺麗ごとばかりじゃないところがいい。
ちゃんと、ひとのどす黒い感情も描かれています。

光だけじゃなく、ちゃんと闇も見せてくれる。

このものがたりは、まさしく「青春回帰」
青春のみずみずしさ、リアルさを書かせたら、
ジョージ朝倉の右に出るものはいないのではないでしょうか。

読み手自身も「あの頃」を思い出し、いつのまにやら青春のど真ん中に帰っているのだから。

悪あがきでも、はたから見て滑稽でも、それは大切な感情の課程だった。
大人になるための、必要な葛藤。
生き急ぐのには若さが必要だ。この作品にはそれがあふれています。

たとえ以前とは関係が変わっても、遠く離れてしまっても、
こんな風につながっていられる女友だちっていいな、としみじみ思わずにいられない。

「ジョージ朝倉」の「ハッピーエンド」は、ほろ苦くも愛おしい青春の一冊です。

 

 

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